財団小史

 第1次世界大戦後における大正デモクラシー以後、議会中心主義を標榜する多くの政治家は、昭和2(1927)年、立憲民政党(初代総裁濱口雄幸、第2代総裁若槻禮次郎)を結成、軍部の政治介入に反対し、護憲・平和を目指して政治活動を展開した。しかし、時流は軍国主義に傾き、おおかたの政党が党を解消する中で、立憲民政党は最後まで“党護持”の旗をかかげたが、昭和15(1940)年8月、ついに自ら解党を宣言せざるを得ない運命をたどった。

 これより先、昭和8(1933)年、立憲民政党総務(後に第3代総裁)町田忠治は、大麻唯男、松村謙三等党幹部とはかり、党の政策立案機能を充実するための政策研究機関として“政務調査館”を建設し、さらに翌9(1934)年12月にはその管理・運営のため別組織として「財団法人櫻田會」を創設、これに関連土地建物を一括譲渡した。同館は、結党以来の党幹部江木翼の旧蔵書と党有力者の寄附による収集図書を擁する図書館を設け、先進的な分類方法により整理をした図書目録を公表するなど、外部利用をも意図した積極的な活動を心掛けていた。しかし前記政党解消に伴って、同館も休眠状態とならざるを得ず、櫻田會も同志集会の拠り所として以上の役割を果し得ないこととなった。

 その後、太平洋戦争と戦後混乱期を経て、松村謙三を中心とするかつて立憲民政党有志の間で、戦後も存続する当財団所有地を我が国政治の発展のために活用しようとの気運が高まった。その結果昭和38(1963)年に松村謙三が財団理事長に就任、関係者の協力も受けて財団所有地に貸事務所ビルを建設し、その運用果実をもって政治の発展に貢献しようという企画がまとまって、昭和42(1967)年に「東京桜田ビル」を建設した。なお、これに伴って、政務調査館以来の蔵書約3万点は昭和39(1964)年2月に国立国会図書館に寄贈し、同館ではこれを「桜田文庫」として管理することとなった。内容は、政治、行政、外交、教育関係の図書やパンフレットを中心に、各省庁の内部資料や謄写刷の機密資料も含まれていたと伝えられる。

 こうして当會は、財団の本来事業として「社会の公益増進のための政治に関する調査研究」を目指すこととなったが、所有地以外には何ら資産がなく借入金に頼ってビルを建設したため、借入金返済を優先せざるを得なかった。結局、その完済には昭和52(1977)年までを要し、最初の公益事業を実施したのは昭和51(1976)年のことであった。そして、その後も本格的事業内容の模索を続けて、辿り着いたのが有力私立大学の政治研究を助成する事業であり、具体的には昭和57(1982)年に開始した政治研究助成事業とその翌年開始した櫻田會賞表彰事業によってそれは軌道に乗り、この両事業は以降今日まで途切れることなく実施されている。

 この両事業の確立は、当會が大学側の協力を受けて、櫻田會賞審査委員会という審査システムを設けたことによるところが大きい。すなわち、同委員会は当然応募研究成果の内容を厳格に審査し事実上賞贈呈について決定するのがその役割であるが、他方、政治研究助成は大学研究者が自発的に研究を深めるための助成を行うものであって、その採否は各大学内の責任ある決定に委ねられる。そして、そのような両事業を並行させる中で、審査委員会には、この他の大学関係助成事業の開始や運営に関するいわゆるコンサル機能も果たしてもらっていて、そのことが当會の次なる事業拡大上大きい支えとなっていくのである。

 さて、その後の当會運営は、ビル立地条件の良さもあってビル収支がおおむね順調に推移したため、公益事業を漸次拡大することが可能となった。例えば、同じく大学の協力を前提とするものとしては、図書出版助成[平成元(1989)年]、私費外国人留学生研究助成[平成4(1992)年]、特別共同研究助成[平成13(2001)年]を逐次開始した。また、昭和59(1984)年の創立50周年を記念して「総史立憲民政党」と、当會設立の功労者たる町田忠治、大麻唯男、松村謙三の伝記をそれぞれ編集・出版した他、政治学を対象とする学会の年報出版への助成[昭和60(1985)年からと平成12(2000)年から]や、中国東北3省からの農業研修生受入事業[昭和58(1983)年]への助成も行った。さらにこの間、大学等の公益的事業についてはその内容に応じて個別に助成したり、昭和51(1976)年に始められた明るい選挙推進協会の公正な公職選挙活動を確保・促進する事業への助成も続けられた。

 しかし、こうした順調な推移の中で、東京桜田ビルの老朽化や稼働率の低下傾向も見え始めたうえ、平成17(2005)年夏には当會所有地をも包含する都市再開発計画が公になり、これらによって当會ビルの建替え問題に取り組まねばならなくなった。そこで当會は、従来の事業全体を抜本的に見直して、将来とも公益事業を中長期にわたって継続可能とするため、事業の一部を中止または縮小することも已むを得ないと判断した。その結果、平成19(2007)年度以降は事業規模を縮小し、政治研究助成、櫻田會賞表彰、出版助成、学会年報出版助成と明るい選挙推進協会事業助成の5プロジェクトを行うこととした。むろんこれと並行して当會運営諸経費の節減等も行なっていて、今後とも現状程度の事業を中断することなく受け継いでいけるよう引続き努力中である。なお、建替え計画は今のところ順調に推移しつつあり、平成28(2016)年8月から当會は仮事務所に移転している。

 最後に、過般の財団法人法改革に対応して、当會は平成25(2013)年4月1日付けで一般財団法人としての認可を受けて活動中である。

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